心理テクニック

相手から半強制的にOKを引き出す交渉心理テクニック12選

ナツキ
ナツキ
いらっしゃいませ!!

「優しい人間」であることは大切なことです。しかし、あまりに優しすぎて、人生で損をしてしていると感じたことはありませんか?

今回は、そんな優しい人を応援し、世の中を上手に泳いでいただき、損をするのは性分だからしょうがないとあきらめずに、ちょっとずる賢くなる方法のお話をします。

相手から半強制的にOKを引き出す交渉心理テクニック12選

信頼を勝ち取りたければ悪い情報を挟む

テレビCMを見ていると、つくづく世の中には素晴らしい商品やサービスが溢れていると実感しますね。

おいしいのにヘルシーとかアンチエイジングに効くとか、汚れがすっきり落ちて真っ白になるとか…。

「これでもかこれでもか」と、素晴らしさがアピールされています。でも「そんなうまい話、あるはずない」と、ついつい疑ってしまうのが人の性。

「これは健康にとてもよい食品でセレブがこぞって買っています」と言われるより、「これは健康にとてもよい食品ですが、そのぶん、一般のものより割高です。

確かに安くはありません」と言ってくれたほうが、よほど信用できるというものです。

営業活動でも同じ。あなたが自社製品を売り込む際、自社製品がいかに良いかをひたすらアピールしていないでしょうか。

その気持ちはわからないわけではありませんが、これでは、CM視聴者と同じ気持ちを相手に抱かせてしまい、あなたの言葉は懐疑的に聞こえてしまいます。

その挙句、マイナス面を探そうとする心理が働いてしまうのです。

「Bさんの方が安いですよね」、「Cさんの製品のほうが、使いやすいように思えます」

こんな反論を受けてあたふたしないためには、自らマイナス面を先に述べてしまうに限ります。

「当社の製品は、価格こそB社さんのものより多少高いですが、そのぶん、機能性、耐久性が高く、保証面でも手厚くさせていただいております。長く使っていただければ、当社の製品のほうがお得だということがおわかりいただけると思います」

といった具合です。

都合の良い話ばかり聞かされると人は警戒しますが、悪い部分があると全体として信憑性が出てくるのです。悪い話をあえて挟むことで、話す人への信頼も得られるのです。

これは、じつは狡猾な詐欺師が相手の信頼を勝ち取る際によく使う手法でもあります。

プラス面ばかりを強調する方法を「一面提示」、マイナス面も含めて説明する方法を「両面提示」といいます。

一般的に人の心理は一面提示より両面提示に動きます。これは、大学生を対象に行った実験でも立証されています。

大学生に生命保険の広告を題材に、一面提示と両面提示のどちらに好感を持つかを尋ねたところ、全体の8割の学生が両面提示の広告がよいと答えたのです。

両面提示は、相手がすでに評価基準をを持っているときや、こちらの提案にあまり興味を示していないときなどに高い効果を発揮する方法ですので、ライバル会社と取引している会社に営業をかける場合などに使えます。

相手は、マイナス面を突いて有利な条件を引き出そうと狙っているでしょう。

そんなとき、両面提示をすることで、「こいつはちょっと信頼できる人間かも」思わせ、信頼を得ることができれば、相手からYESを引き出すチャンスが生まれます。

やり方としては、プラス面を示したあとにマイナス面を挙げて、そのマイナス面について、しっかりと説明したうえで再びプラス面を提示する。

または、最初にマイナス面を挙げたうえで、このマイナスには実はこういう理由があると、マイナス面をカバーするような説明をしてプラス面を強調する。

このいずれかでいいでしょう。ただ、あなたは詐欺師ではないのですから、嘘はいけません。

いくら相手の心理をコントロールするためとはいえ、嘘をつけばそれは詐欺師と同じです。

たとえばプラス面について嘘をついて、あとから嘘が発覚したなんてことになったら信頼を得るどころの話ではありません。

本音のフリで本音の情報を呼び込む

「あなたは詐欺師ではないのですから、嘘はいけません」と言ったはなから恐縮ですが「嘘も方便」ということわざがあるように、嘘も使いようです。

厳密に嘘ではなく、仮定の話として嘘を使うのです。

たとえば、商談が進み、いよいよ金額交渉までこぎつけたとしましょう。初めての取引や新製品の取引の場合、相手がどれくらいの金額を頭に描いているのか、こちらにはわかりません。

できるだけ高い金額で契約したいのは山々ですが、相手のイメージより高すぎる金額を投げてしまうと、契約目前にご破算なんてことも起きかねません。

そこで、相手に探りを入れたいのですが、それは相手も同じ。本音で話したいけれど、交渉事ですから、なかなか本音が出てきません。

そういうときは、本音で話すフリをして仮の価格を提示すればいいのです。

「上司とも相談して決めたことなのですが…」

「こちらとしてもできるだけ勉強させていただき…」

「そうですね、正直に申し上げれば…」

というような言葉を挟んだうえで、「たとえばの話ですが、これぐらいではいかがでしょう」と金額を提示する。

このとき、「これ以上は下げられない」というニュアンスを出しながらも想定している価格より高い金額を提示するのです。

誠実そうな表情をつくりながら。

すると、相手はこちらの提示に対して、「うちはこれしか出せない」という希望価格を提示してくるでしょう。

こちらが(建前上)正直に話しているのですから、相手は本音の価格、もしくはそれに近い価格を言ってくる場合が多いのです。

こちらは、相手が提示した金額に対し誠意を見せて(と見せかけて)、少し価格を下げて最終的な金額を提示します。

結果、当初想定している価格より高い金額で契約を取りつけることができるというわけです。

本音トークのフリで本音を引き出す。できるビジネスパーソンなら、このくらいのことはしているのです。

相手の言葉に相槌を打たない

上司から、取引先が持ちかかけてきた商談を断るようにとの指示を受けました。これは気の重い仕事です。

しかも、担当者は口がうまいときている。先日も別件でついつい会話に引き込まれ、思わず納得させられたこともあった…。

そんな相手に、これまで進んでいた商談を断るというのは、かなりの難題。

またも相手の営業トークに乗せられて断りきれない可能性もある。会話に乗せられないように、うまく切り抜けるにはどうしたものか…。

相手のペースに巻き込まれそうなときは、とにかく相手の言葉に頷かないようにするに限ります。

人は自分が話しているときに、相手が盛んに頷いてくれたり、相槌を打ってくれたりすると、ますます勢いづいて次から次へと喋りたくなるものです。

翻って、自分が話しているのに、相手が無反応だったらどうでしょうか。

いくらトークが上手な人でも、相手の反応が鈍いのですから、不安になり次第にペースを乱されるでしょう。

頷かない、相槌を打たないというだけで、相手が勝手にトーンダウンしてくれるのです。

心理学者のマタラゾが、面接試験に訪れた男性を対象に、45分間の面接の中の15分だけ、面接官が盛んに頷いてみるとどうなるかという実験を行いました。

結果は、通常の受け答えを繰り返した時間帯に比べて、面接官が盛んに頷いた15分間、面接者は饒舌になり、話が長くなったのです。

つまり、相手がいくら上手にトークをして展開しても、そこは反応せず、じっとして聞いているだけでいいのです。

やがて相手が勝手にペースを乱してくれるはずです。先方の担当者には気の毒ですが、ここはひとつ、決して頷かずにポーカーフェイスでいきましょう。

相手の名前を会話に挟む

商談をスムーズに進めるためには、先方の担当者と距離をいかに縮めるかが大きなポイントです。

自分に親近感を持ってくれている相手であれば、理解も進みますし、お願い事もしやすくなります。

お互いに親近感がなければ型どおりに話が進むだけで、なんとなく時間がきてしまうなんてことになりかねません。

ここは、いかにして早く親近感を持たせるかが重要になってくるわけですが、その際に有効なのが、相手の名前をさりげなく会話に挟むことです。これで親近感を演出できます。

欧米人は盛んに相手のファーストネームを呼びます。「元気そうだね、ジェニー」「おはよう、トニー」と言った具合です。

これだけで、単に「元気そうだね」「おはよう」と声をかけるより、親しげな雰囲気が漂います。

しかし日本では、会話に相手の名前を出すことが極めて少なく、長年連れ添った夫婦がもう何年も名前で呼び合っていないというケースも少なくありません。

ビジネスの場でも、名刺交換はしても、そこで知った相手の名前を呼ぶことはほとんどありません。

でも、だからこそチャンスなのです。名前を呼ばない商談で、あえて相手の名前を呼んでみる。無論、ファーストネームとはいきませんので、名字でいいのです。

たとえば「いかがでしょうか?」と相手の意見を引き出す際に、「〇〇さんは、どのようにお考えですか?」に変えるのです。

相手を肩書きで呼んでいた場合も、「部長」ではなく「〇〇部長」にしましょう。

単純だと思われるでしょうが、これだけであなたへの親近感は大きくまします。

さらに、「いかがでしょう?」という問いには、考え込むようなフリをして黙っていられますが、「〇〇さん、いかがでしょう?」と名指しされると、意見を言わざるを得ない雰囲気になります。

相手の言葉を引き出すこともできます。相手の名字を覚えて呼びかけるだけ。どうでしょう?簡単ですよね?相手の名前を連呼して、心を引き込んでください。

視線を先に外すと主導権が握れる

取引先との交渉の場で、相手がこちらに不利な条件をしゃあしゃあと出してきたとしましょう。

どう思うでしょう?当然、ムッとしますよね。「いやそれでは話が違う」とばかりに、反撃したいと思うでしょう。

自分が有利な立場に持ち込みたいと思うと、人はついつい攻撃的になってしまいます。声を荒げることはなくても、にらみを利かせて相手を威圧したくなりますね。

でも、これでは子供のケンカです。ここはもっとしたたかに、相手を自滅に追い込むように仕向けてはどうでしょうか。

それは、相手を見つめたあと、先にスッと視線を外すことです。目をそらすのは弱さの証と思うかもしれませんが、それは一触即発のケンカでの話。

ここはビジネスの場です。視線を外されたほうは、意外にも不安感が高まるものです。

自分に置き換えて想像してみてください。まず互いに目と目が合う。すると、相手にフッと目線をそらされた。…。

このとき、あなたは「あれ?なんか癇に障ったのかな」「よく思われていないのかな」と、相手の心証が気になるはずです。

一般的に、人は視線を外されると、相手の心の動きが気になってしまいます。この心理を利用して視線を外すタイミングを上手に見計らえば、相手より優位に立つことができます。

つまり主導権を引き戻せるのです。これで相手はペースを乱します。それまでの勢いがなくなるはずです。これこそ、相手の心をコントロールする技のひとつ。

主導権を引き戻したところで、「その条件では難しそうですが、ここをこうすれば…」と、反撃開始です。なにも相手を威圧しなくても、心理的優位に立つことができるのです。

くだけたふるまいで警戒心を解く

なんとか営業成績をあげたい、どうしても契約を取りたい…。そんな切羽詰まった気持ちでは、人はついつい肩に力が入ってしまうもの。

真面目なことはいいことですが、真面目すぎるのは考えものです。生真面目営業マンを見た初対面の人は、どんな印象を受けるでしょう。

堅苦しい挨拶を交わし、唐突に「話だけでも聞いてください」と頼む姿を見て、先方は「では聞きましょう」という気持ちににはならないでしょう。

体よくお断りされるのが目に見えます。無論、ビジネスでは礼儀は大切ですが、身構え過ぎた人を相手にするのは苦痛を感じるものです。

さっさと厄介払いされるのがオチです。

相手に受け入れてもらうには、相手の警戒心を解かなければなりません。相手が警戒していては、肝心の話の中身も入ってこないというものです。

相手の心のガードを外すには、こちらもガードを外してください。リラックスしてほしいなら、こちらがリラックスするしかないのです。

初対面の人を前にリラックスすることなど難しいのはわかりますが、せめてリラックスしたフリを装うべきです。

女性にアプローチするとき、こちらの態度がどこかぎこちなく、硬ければ、当然相手も警戒しますね。それと同じです。

女性が警戒していたら、こちらはリラックスした態度をみせ、女性が硬い表情をしていたら、、微笑みを浮かべてあげるでしょう。

ビジネスの場面ですから、タメ口とはいきませんが、笑顔くらいはつくりましょう。足を組んでみせることくらいはできるかもしれません。(相手によりますが)。

とにかく、話すことより場の空気をつくることを意識することです。そちらが先決です。場を和らげることができれば、話の主導権を握ることにもつながります。

煙に巻く交渉術は「ぼんやり」けなす

交渉の場合、相手の提案が飲めないときは、あなたならどうするでしょう。

「この納期には間に合いそうにありません」

「この数字をもう少し抑えることはできませんか」

問題点をはっきり提示して、さらに交渉に挑んでいないでしょうか。じつに真っ当な方法ですが、自社にとって有利な条件へと導くためには、堅い方法ではありません。

ひとつひとつ問題点を詰めなければなりませんし、万一、先方があらかじめ問題点を予測して別案を用意していれば、交渉の主導権は握れません。有利な条件を引き出すことは難しくなります。

そこで、主導権を引き戻すときには、あえて問題点を明らかにせずに、否定することに終始するのです。

先方が、「どこがまずいでしょうか?」と聞いてきても、「う〜ん、どうでしょうか…」「なんというか…。そのご提案では…」といった具合です。

先方にすれば、提案に納得していないことはわかりますが、言っていることがぼんやりしていて、何が悪いのかわかりません。

当然先方は、さらに「どの点が?」と、答えを求めてくるでしょうが、お茶を濁しながら時間をかけましょう。

いわば、相手の心理を混乱させればいいのです。相を十分焦らしたうえで、こちらが考えていた提案を示します。

こうすることで、どこが悪いのかわからない状態が続いて不安感が増している相手は、あなたの提案を、無下に却下することはできなくなります。

このとき主導権はこちらに引き戻されています。結果、こちらに優位な条件で契約できる可能性が高くなるというわけです。

ただし、このやり方は相手の怒りを買いやすい側面があります。相手がこちらと交渉することに強い希望を持っていなければ決裂するので、そこは見極めが必要です。

相手のペースを浸して不安を煽る

交渉相手がかなりのやり手で、なかなかこちらのペースに持ち込めず、気がつけば先方のペースで話が進んでいるというケースがあります。

なんとかこちらのペースに持ち込み、交渉を少しでも優位に進めたいのですが、なかなか手強い相手です。

こういうときは、まず先方のペースを乱すことを考えましょう。その方法のひとつが、相手のテリトリーを浸すことです。

相手に詰め寄れという話ではありません。さりげなく、相手がそれとは気づかないように相手のペースに踏み込んでいくのです。

人は自分のペースを侵害されると、なんとなく落ち着きがなくなります。

身近な例をあげましょう。あなたが仕事で使っている机に、隣の人の書類がはみ出てくると気になりませんか。

また自分がいない隙に、他人の資料が自分の机にあったり、他人の荷物が座席に置かれていたりすると、気持ちのよいものではありません。

無論、会社の机や椅子は個人の持ち物ではありませんが、長期的に占有しているスペースです(これを派生的テリトリーと呼びます)。

邪魔だから嫌なのではなく、派生的テリトリーを浸されたことで、本能的、感情的に反発を覚えてしまうのです。

交渉の場でもこの心理を利用しましょう。相手と商談する机の上に、自分の書類をなるべく広げます。

応接室や会議室の机は、一時的に占有している公的テリトリーと呼ばれる場所です。互いが向き合っているのなら、お互いの間にある中間線までがその人の公的テリトリーになります。

向かい合っている両者の間では、無意識のうちにテリトリーの線引きがなされているのです。この線引きを浸す場所にまで、自分の書類を広げればいいのです。

書類がないようでしたら、ペンやメガネなどでも構いません。

このように、自分のテリトリーの証として置くものをテリトリー・マーカーと言います。

テリトリー・マーカーはその場の存在するものより、私物のほうが効果が高いといわれていますので、書類よりペンやメガネのほうがよいかもしれません。

交渉の場の机の上に、相手のものが自分側にまで置かれると、相手は落ち着かない気分を抱きます。

自分の近くに置かれた相手の私物が気になってしまうのです。それはごく小さな違和感ですが、これが相手のペースを乱すのに役立ちます。

相手の勢い削がれ、逆にペースを握れる可能性があるというわけです。

ビジネスの場では、礼儀正しいことが求められます。でも、礼儀正しいだけがビジネスをスムーズに進めるコツではありません。

ときには礼儀を逸脱することで、相手に心理的負担をかけ、こちらのペースに巻き込む必要性があるはずです。

そんなときは、相手のテリトリーを攻めることを考えましょう。ボディーブローのように、じわりじわりと効いてくるはずです。

勝負スーツを一着用意する

いきなりですが、アメリカの心理学者ターナが行った実験を紹介しましょう。

新しい高級車と中古の小型トラックを使って、後続の車のドライバーの反応を調べた実験です。

信号が青に変わってもわざと発進させず、被験者である後ろのドライバーの反応を見ました。

すると、高級車にクラクションを鳴らすまでの平均時間が、小型トラックに鳴らすよりも3秒近くも長かったのです。

つまり、高級車にクラクションを鳴らすのは躊躇してしまうということです。

さらに、クラクションを二度にわたって鳴らした人の数も、小型トラックでは18人だったのに対し、高級車では8人と2倍以上もの差がありました。

一度も鳴らさなかった人数は高級車が18人だったのに対し、トラックは6人でした。前に止まっている車が高級車だというだけで、とる態度が変わったのです。

これは何を示しているのでしょうか。

人はよく知らない相手には、目の前にある情報の基準だけで判断をくだしがちだということです。

自分より社会的地位が高いと思える相手には、攻撃を仕掛けにくく、声もかけにくく感じます。

逆に、相手の地位が低いと思うと、威嚇や攻撃を仕掛けるハードルが下がるのです。

この心理をビジネスシーンでも利用すべきです。「ビジネスは戦場である」というと大げさかもしれませんが、日々、「切った張った」をしているのは事実でしょう。

相手に弱みを見せれば、つけ入る隙を与えることになります。ここは弱みを見せずに、相手と互角に渡りあわねばなりません。

では、どうすればいいか。せめて自分を際立たせるような鎧を準備して臨むことです。

ビジネスマンの鎧と言えば、もちろんスーツ。ビジネスマンなら誰もが着ているものです。そこで高級スーツを一着用意しておきましょう。

あまり派手だと下品なイメージになりますので、業界や職種に見合ったもので、その世界で成功している人が着るようなタイプのものを選びます。

このスーツは、いざというときの勝負スーツです。たとえば、自分の出世の足がかりとなる重要な商談に臨むようなときに使います。

スーツだけでなく、髪型も整え、爪の先から靴の先まで、完璧な身なりで出かけるのです。

整った身なりは相手に好感を与えるのも事実ですが、それ以上に、つけ入る隙を与えない役割を果たしてくれるというわけです。

このように少ない情報で簡単に人物像をつくりあげる心理的働きを「ヒューリスティック」と言います。

難しい言葉を使いましたが、早い話、ハッタリです。でもハッタリを馬鹿にしてはいけません。

自分を高く評価させ相手をコントロールし、ひいては主導権を握ることは、ビジネス現場、いや戦場では生きる術として必要です。

まだ高級スーツを持っていないという人はすぐにご用意を。ここでケチってはいけません。この出費は、将来の自分のための先行投資と考えればいいのです。

企画を成功したければ売り込まない

ずっと温めていた企画をなんとか上に通したいー。こういうときは、正攻法では押さないことです。

いかに素晴らしい企画かを熱くアピールしたところで、そもそもあなたの温度(思い)と上司の温度は違うはずです。

懸命になればなるほど、引いてしまうのが人間というもの。しつこい訪問販売や電話セールスにうんざりした経験は誰にでもあるはず。

相手が熱ければ熱いほど、購買欲は失わせてしまうものです。上司に企画を通すときも然り。ゴリ押しせずに引くことで相手の興味を呼び込むという策をとりましょう。

もうひとつ、企画B案を用意して挑みます。そして、あなたが通したいA案と一緒に上司に提示するのです。このとき、あえてB案を売り込みます。

内心はA案が良いと思っているのですが、ここはシラっとB案をアピールします。すると上司は、いまひとつアピールしてこないA案が気になりだします。

「こちらはどうなんだ?」と聞いてくればしめたもの。でも、まだ我慢です。

「A案にはちょっとリスクがありまして…」などと言いながら、B案に話を戻し、さらにB案を熱く売り込みます。

そして、その話の流れで、じつはB案にも別のリスクがあり、それがA案より大きいということを、上司に気づかせるのです。

リスクを知った上司は、「いや、A案のほうがB案よりいいのでは」という判断をすることでしょう。

複数の企画を提示することで、比べて選択しやすくさせるのです。A案を上司が選択し、決定したのですから、上司もその企画に思い入れを持つはずです。

成功すれば、あなたの評価になりますし、もし失敗しても、上司が決断したのですから、あなただけが責められることはありません。

権威を利用し自己主張する

もうひとつ、上司にYESと言わせる話をしましょう。ここでも企画を例にとります。手間暇かけて書き上げた企画なら、そこはちょっと頭を使って上司に提出したいところです。見たか

見ないかのうちに、あっさり却下させない予防線を張ってください。たとえ内容が同じ企画書でも、上司が思わず目を通してしまう方法があるのです。

企画書を提出する際、「経済学者のA氏が発表したデータを参考にしました」とか、「B大学のC教授の研究成果を反映させています」など、その企画書制作に至った根拠を明らかにすることです。

このとき提示する人物は権威がありそうな人。引き合いに出せる人物がなければ、出典でもOKです。「先日、D新聞に記載されていたアメリカの動向調査では…」といった具合に。

直接企画の有効性を裏付ける情報でなくてもいいのです。少し関連がある、企画を思いついたのはこの情報から、といった具合でいいのです。

人はとかく権威に弱いものです。権威がある人物や著名人ならば、格別に信頼できるに違いないと思ってしまうのです。

この傾向は、権威に弱い上司や、肩書を気にするタイプの人ほど強く表れます。

だから、あなたが自分の考えだけで企画書を書いたのではなく、そこには権威ある人のアイディアや調査結果などが加味されているということを付け加えるだけで、その企画書の価値は上がるのです。

いいえ、厳密に言えば、企画書自体の価値は同じですが、それを読む上司の見方が変わるのです。

「君の企画書なら推して知るべし…」と思っている上司でも、権威づけされると、やはり気になるものです。

企画書に、その人物と同じような重みが加わりますから、上司は価値が高いと勝手に思い込んでくれるというわけです。

まさに「虎の威を借るキツネ」。権威は上手に利用しましょう。

まずハードルの高い頼み事をする

部下を持つ立場になれば、ときには部下が嫌がることを命令しなければなりません。上司なら、部下に命令するのは当たり前かもしれませんが、そこは注意が必要です。

上司風を吹かせて強引に命令すれば、部下はあなたについてきませんし、言葉を間違えれば、パワハラになりかねない時代です。

なにより自分にプラスになる部下を持つことが、自分を出世させるためには必要です。部下の心をじょうずにコントロールして、自分に役立つ部下に仕立て上げなければなりません。

そのためには、部下が自ら進んで働くように仕向けることが重要です。

たとえばトラブル処理が起きたとしましょう。部下に対応を命令するのは簡単ですが、よもやトラブル処理を喜ぶ部下はいません。

こんなときは、ちょっとした段取りを踏んで、部下の心をコントロールします。まず部下にとってかなりのハードルの高い頼み事をするのです。

「緊急事態が起きた。すぐに対応したいので、今夜残ってほしい。まあ、今から始めれば深夜までには終わるだろう」

当然、部下は断りたいでしょうが、上司の命令ですから無下に断ることもできないでしょう。

だからといって「はい、喜んで」というわけもなく、嫌な気持ちが顔に表れたり、ため息のひとつでも漏らしたりするにちがいありません。

そこですかさず、「そうだよな。疲れているのに申し訳ない。深夜までの残業はやっぱり嫌だよな」と理解を示した言葉をかけるのです。

このひと言で、部下はあなたに対して後ろめたい気持ちになります。ここがミソ。人はどんな頼み事であれ、断ることには罪悪感を持つものです。

相手の要求に応えられないことを申し訳なく思い、心理的に相手に借りがあるような気持ちを持つようになります。

そのタイミングで今度は、「それなら今日は定時で帰っていいから、明日対応してくれないか?」と頼んでみるのです。

深夜残業するよりはマシだと感じたなら、部下は承諾するでしょう。

部下が自分で選択した、つまり深夜までの残業ではなく明日処理する仕事として引き受けてくれる状況に持ち込めるというわけです。

最初に無理な頼み事をしたあとで、少し楽な条件を提示し、それを引き受けさせる説得法を「ドア・イン・ザ・フェイス」と言います。一度は耳にした言葉ではないでしょうか。

よく使われる事例を紹介しましょう。

友人から「悪い、ちょっと物入りで困ってるんだ。10万貸してくれないか?」と頼まれたら、大抵の人は断ります。

でも、「じゃあ、5万円。いや1万円でもいい」と重ねて頼まれると、「じゃあ、1万円くらいなら」と引き受けてしまうというものです。

これは、10万円を断ったことで小さな罪悪感を持った人が、一度断ったのだから、次は応じて上げなくてはいけないという心理状態になるためです。

冒頭の部下への頼み事も「ドア・イン・ザ・フェイス」の効力が見事に引き出されています。

どうしても部下に何かを引き受けさせYESと言わせたいなら、まずは最初に大きな要求を突き付けて一度断らせましょう。

そこで小さな罪悪感を持たせることができれば、次に提示する本来の要求を引き受けさせるのです。

最後までお読み頂き本当にありがとうございました。

ナツキ
ナツキ
あなたの人生に素敵な勝利が訪れますように

KIYORA Group
メンタリストのための心理学 主任
桃園 ナツキ(ももぞの なつき)