心理テクニック

人を思い通りに動かす心理テクニック10選

ナツキ
ナツキ
いらっしゃいませ!!

会社の人間関係ほど面倒なものはありません。人が集まれば複雑になるのは当たり前。

自分と気の合う人が、自分と利害が一致している人と対立していたり、自分と対立している人が、気の合う人と仲良くしていたり…。

複雑ですね。人間関係に悩む前に、うまく立ち振る舞う術を身につけるべきです。それには人間関係の「力学」を知って味方を増やすことです。

ここでは味方の増やし方を見ていきます。

人を思い通りに動かす心理テクニック10選

共通の敵をつくり味方を増やす

たとえばあなたが上司とうまくいってうなかったとしましょう。いつも不機嫌そうな顔をして、細かいことを言う上司が苦手で、どうしても好きになれません。

でもそれを周囲に愚痴るのは危険です。その人が上司と通じているかもしれませんし、どこでその話が漏れるかわかりません。

こういうときは、その上司をよく知っていて、やはりその上司に好感を持っていない人を探しましょう。

自分の先輩あたりにそんな人がいるとベストです。上司に何か仕事を命じられたときなどを見計らい、その先輩にこう言うのです。

「どうも上司とうまくいかなくて参っています。上司が満足できる仕事がなかなかできなくて叱られてばかりです。どうすれば求められている仕事ができるのか、相談に乗っていただけませんか?」

露骨に上司の悪口を言ったり批判したりすると、あとで面倒に巻き込まれる可能性がありますから、あくまで相談に乗ってもらうという体を装います。

この先輩も上司に不満を持っているわけですから、心情的にあなたの味方をしたくなります。

はっきり言えば、相談内容はなんでもいいのです。なにより先輩からどう同情を買うことが重要なのです。

アメリカの心理学者F/ハイダーは「バランス理論」と称し、この人間関係を説明しています。

三者が三角関係をなす立場にある場合、それぞれのプラスかマイナスかの関係で、バランスが決まるというのです。

プラスが三つ、もしくはひとつならバランスが取れ、プラスがゼロ(つまりすべてがマイナス)、もしくは二つだとバランスが取れていない状態だというのです。

この場合、最初は三者が「対立」という三つのマイナスで不安定な状態だったのですが、先輩とあなたが手を結ぶことでプラスが生まれ、このプラスによってバランスが取れて、2対1という安定した状態になるのです。

結果、あなたと先輩の間に同盟関係が生まれるというわけです。

味方が多いに越したことはありません。あなたの周りにいる人をプラス、マイナスで評価し、誰が味方になりそうか考えてください。

なにも気の合う人だけが、味方ではありません

落ち込んでいる人がらチャンスと捉え慰める

とにかく仕事ができる人は、会社の人間関係を軽視しがちです。仕事で業績を残し、上司に気に入られてさえいいれば、出世できるとー。

でもこれは危険です。考えてみましょう。

出世すればするほど周囲の反感や抵抗にあうことになるのですから、敵は増える一方です。いつなんどき、足元をすくわれる場面に出くわすかわかりません。

出世には、なるべく敵を増やさない根回しが必要なのです。それには周囲の人間が敵に回らないように、ふだんから貸をつくっておくことです。

なにも仕事を手伝ったり、バックアップしてあげる必要はありません。そんなことをしなくても、簡単に貸しはつくれます。

ターゲットは仕事に失敗した人。その時がチャンスです。仕事で失敗した人を慰めてあげればいいのです。

こうしておけば、少なくとも敵に回ることは避けられます。

人は落ち込んでいるとき、自分を肯定してくれる言葉をかけられると、言葉をかけたその人に共感してしまう心理が働くものです。

男女関係がいい例です。失恋して落ち込んでいる女性が、相談相手の男性と結ばれるというのはよくある話ではありませんか。

「君みたいな素敵な人を振るなんて、あいつもバカだな」と優しく慰められ、その男性に好意を持ってしまうというパターンです。

これをビジネスの場でも使うのです。仕事で落ち込んでいる人がいたら、さりげなく近づき、

「君の判断は正しかったと思うけど」

「今回はうまくいかなかったけれど、君は実力があるから」

と声をかけるのです。とくに人は自尊心が傷つけられたとき、自分を評価してくれる人がいると、その人になびきやすいのです。

これは仕事ができる人ほど効果があります。有能な人は、高い評価の言葉をふだんから耳にしていますから、さほど褒められたところで心に響きません。

自分の評価を再確認する言葉にしか聞こえないでしょう。

ところが、こういう人が失敗をしたときのあなたの褒めは、傷ついた自尊心を癒し、自分を評価してくれる言葉に聞こえるのです。

ふだんなら歯牙にもかけないはずなのに、あなたが素晴らしい人に見えるのです。

落ち込んだ人を見つけて、その度に褒めてあげるなど面倒だと思うかもしれません。

でも、日頃から気を配って愛嬌をふりまき、せっせとランチを共にしたり、仕事帰りの飲み会などに付き合ったりして、味方を増やすことを考えれば、ずっと楽だと思います。

ピンポイントでケアしてあげるだけで済むのですから…。これは、相手を即座に味方に引き込むというよりは、のちのち敵に回らないよう、その芽を摘んでおくためのものです。

声をかける以上のことをする必要はありません。他人の不幸というタイミングをじょうずに使って、効率的に敵を減らしていく長期的な人脈戦略なのです。

多数意見を利用し自分側に引き込む

社内でうまく渡り歩くには、数の論理を知っておく必要があります。数こそ力です。数を味方にできない人に出世した人はいないと言ってもいいでしょう。

なにかの決議で多数決がなされる際、数が必要になったときは、人の同調意識を巧みに利用するに限ります。

同調とは、他人と一致するように自分の態度や行動を変化させることを言います。人は周囲の足並みが揃っていると、自分もその足並みに合わせようとする意識が働きやすいのです。

周囲と同じにすることで安心を得ようと、似た行動を取ろうとします。とくに日本人は同調意識が強い傾向にあります。

行列ができるラーメン屋さんを思い出してみてください。行列ができるのだから、たぶん美味しいに違いないと思い、自分もつい並んでしまったりしないでしょうか。

その店の味がいまひとつだったとしても、みんなが口々に美味しいと言えば、「そうなのかもしれない」と思い直したことはないでしょうか。

たとえ自分がこうだと思っていてもひとりだけ違う意見を言うのは勇気が必要ですし、気が引けるものです。

自分の意に反して周囲に合わせた経験を、多かれ誰もが持っているでしょう。まさにこれが同調意識です。

決議の対立候補の切り崩しには、これが利用できます。ターゲットに対し、対立候補は社内で少数であることを触れ込むのです。

「みんなA部長(対立候補)のやり方にはまいっているらしいよ」

「A部長、最近いいい評判を聞かないね」

といった情報を吹き込みましょう。自分こそが社内の一般的な立場であることを印象づけるのです。

触れ込む際は、「先日、みんなで飲んだときにも話していたんだけど…」と、自分の言葉ではないことを暗に匂わせておくといいでしょう。

自分に同調するよう強引に勧誘しても、簡単にはいきません。かえって反発心を抱いてしまいます。

それよりも、やんわりと周囲がそう思っているような雰囲気をつくればいいのです。

悪く言ってからほめると味方になりやすい

相手の心を掌握するもっとも有名な手法に「ゲイン効果」があります。

これは、最初から相手を高く評価せず、あえて低い評価を下します。

そのとき当然、相手はマイナスの感情を持ちますが、そののち評価を上げると、プラスの感情に振れてしまうのです。

つまり、悪い印象を持っていた人に対して、なにかのきっかけで「じつは良い人かも」と印象が逆転したときには、より強力な好印象が刻まれるのです。

この心理を利用して、これで相手の心を掴めるのです。いわば、貶めておいて最後に持ち上げるわけです。

たとえば、部下を取り込みたいとき。嫌われまいとして優しい上司を演じてはいけません。初めは冷静沈着な態度で臨みます。

部下の書類提出の際も、なにも反応を示さずただ書類を眺めるだけにしたり、内容を確認したりするだけに留めておきます。

部下にしてみれば、厳しそうな人、扱いにくそうな人に映るでしょう。こうした下準備をしておき徐々に印象を柔らかくしていきます。

あるとき、部下が持ってきた企画書をみたあとに、「このプラン、なかなかいいね」と言ってみるという具合です。

いつも優しい態度で対応する上司が、こんなセリフを言っても効果は薄いのですが、これまで笑顔も見せず、一見、冷たい態度を見せていたあなたが放った優しい言葉は、部下に強烈なインパクトを与えます。

「冷たい人だと思っていたけど、思ったより良い人かも」と感じてしまうというわけです。

つねに良い人を演じるより、たまに良い人になればいい。これで部下はあなたに好意を持つようになり、結果、取り込めるという寸法です。

ゲイン効果とは逆に、最初は良い顔をして相手を持ち上げ、あとから貶めることを「ロス効果」と呼びます。

好印象が逆転したときには悪い印象がより強く残ってしまうことです。

これで相手を取り込むどころか、嫌われてしまいます。味方につけたければ、順番を間違えないことです。

思い通りに話を進めるには上座

複数の人数が集まれば、当然、意見をまとめるのは大変です。しかも、そのなかで自分の意見をできるだけ通そうとするのは至難の業です。

強引に意見を通そうものなら、下手をすると、面倒な役まわり押しつけられかねません。

場(周囲の意識)をコントロールして、できる限り自分の要求に近い形で話を収めてしまう方法はないものでしょうか。

唐突ですが、席次には上座と下座があるのをご存知ですね。立場が上の人が上座、下の人が下座に座ります。

その場の主役が決まっているわけで、上座は有利に場を進めることができます。意見をまとめるような打ち合わせに、この席次を利用するのです。

つまり自分を優位な立場にするために、主役である上座に座ることです。

無論、上司がいるような場面では不可能ですが、同僚の集まりなら、誰がどこに座るのも自由なはずです。

たとえば、こんなケースが考えられるでしょう。社内で忘年会が開かれることになったとしましょう。

幹事役として、社内から8人が選ばれ、準備をすることになりました。社内イベントとはいえ、社長や専務、部長なども列席するので、つまらない会にはできません。

そのとき肝心なのが最初の打ち合わせです。

面倒な役を割り当てられてはたまりません。でも、自分の意向は通したい。そのためには、打ち合わせの場で、できるだけあなたが主導権を持つ必要があります。

ここで効いてくるのが席次というわけです。まず事前に自分と似た意見を持つ仲間を2〜3人ほどつくっておきましょう。

事前工作は必要です。そのうえで早めに会議室に入り、席を取ります。

短辺にひとり、長辺に3人ずつ座るような長方形のテーブルの場合、自分は短辺の上座に陣取ります。仲間にはそれぞれ長辺の真ん中の席に座ってもらいます。

自分と対面することになるもうひとつの短辺にも、できるだけ味方に座ってもらうか、もし椅子が余るようなら、その席の椅子は取っ払ってしまいましょう。

なぜなら対面席は視線がぶつかるので、意見が対立しやすくなるからです。自分と意見が異なる人にだけは座らせないようにしなければなりません。

こうしておけば、あとから来た人は、長辺の端にしか座ることができません。この構図が大事なのです。席次には人の心理が表れています。

上座の短辺は、独善的なリーダータイプが、長辺の真ん中の席は、民主的に議論を進めるリーダータイプが座る傾向があります。

いっぽう、長辺の端の席は消極的なタイプの人が座る傾向にあるのです。

会議で発言したくないとき、ついつい端に座りたい気持ちになるでしょう。それも、席次が人の心理に大きく関与している証拠です。

この人の心理を逆手にとったのが、この方法です。上座に座ったあなたは、この打ち合わせの席を仕切る立場にあることを、暗黙のうちに参加者に知らしめることになるのです。

こうして席次によって打ち合わせの主導権を握ってしまえば、別段強引なことを言わなくても、あなたの意見は通りやすくなるわけです。

内緒話を用意し仲間意識を吹き込む

どこの世界にも、他人のウワサ話が好きな人がいます。社内にもひとりくらいはいるでしょう。

こういう人物を敵にしてしまうと、じつにやっかいです。なにしろ、あることないことを吹聴されるのでたまりませんね。

「厄介だから近づかないに限る」なんて思っていても、相手が勝手にあれこれウワサを立てるので止めようがありません。

放置しておくと出世の妨げにもなりかねませんから、いっそこちらから近づいて引き込んでおきましょう。味方にするのが最大の防御というわけです。

それには、打ち明け話を装うのがいちばんです。

たとえば、、そのウワサ好きの人物が、「一課の○○は高級料亭で接待だったらしいよ。こっちは経費を削られて接待もなかなかできないのに、結構な御身分だよな」とはなしてきたとしましょう。

こんなとき同調してはいけません。あなたが悪口を言っていたとウワサが流れます。ここは、こう切り返します。

「じつはさ、俺も昨日接待でね。大事な取引先だったから気疲れしちゃって。ああいうのはどうしても慣れないね」

このとき、いかにも内緒話だという感じで声をひそめ、耳打ちするようにして話します。

よく聞けば、さほど重要な打ち明け話ではありません、内容ではなく、打ち明け話に聞こえることが重要なのです。

だから「言いにくいんだけど、ときどき休日になるとゲームセンターで憂さ晴らしをしてるんだ」「ここだけの話、いま水彩画に凝っているんだ」など、ネタはなんでもいいのです。

周囲をはばかりながら「じつは…」と、いかにも内緒話風に話せばいい。これで親密度は一気に上がります。その途端、ただの同僚が特別な人間に感じられるようになるのです。

こうして仲間意識を植え付けておけば、社内の色々な情報を持ち込んでくれるでしょうから、まさに一石二鳥なのです。

ひとりでできる仕事をあえて頼む

与えられた仕事が、自分ひとりでは難しいとき、あなたならどうするでしょうか。仕事ができない人間だと思われたくないからと、それでもがんばるという人が多いかもしれません。

でも、賢い人はそうはしません。堂々と人を頼るでしょう。

人に頼み事をすることは、決してマイナスではなく、それどころか人間関係をプラスに転じ、相手に好意を持たせることを知っているからです。

人は頼み事をされると、やっかいだな思う反面、うれしいものです。「よくぞ、私を頼ってくれた」という心境です。

自分を信頼し、自分を頼りにしてくれたと感じるのです。

たとえば、あなたの後輩から「先輩、この書類作成が進まなくて…。アドバイスしてください」と頼まれたらどうでしょうか。

手間のかかるヤツだと思いながらも、つい助けて上げたくなるはずです。

つまり、頼み事は、相手の存在意識の高さを認識させ、満足感を与えることになるのです。この心理を利用すれば、相手に自分への好意を持たせることもできます。

さほど困っていないし、自分ひとりでも十分できる仕事でも、あえて上司や先輩に、

「課長のお知恵をお貸し願えませんか?」「やはり先輩のお力をお借りしないと、なかなか進まなくて…」

などとお願いするのです。好意を勝ち得るために、わざと頼み事をする。人の心理を突いたうまい方法です。

頼りにすることで上司の機嫌を取る方法は、じつは豊臣秀吉も使っていました。

毛利家の備中高松城を攻めていたとき、織田信長に援軍を頼んだのですが、じつはこのとき、援軍なしで勝てる見込みがあったと言われています。

しかしあえて援軍を頼むことで、「私は信長様に追従していきます」ということを示し、信長の好意を得ようとしたのです。

さすが秀吉。稀代の人たらしと言われる所以です。

嫌いな相手こそ褒める

組織のなかにいれば、ウマが合わない人、あるいは互いにライバル視している人というのはいるものです。

どうも好きになれない…。もし、あなたが内心そう思っているなら、相手も同じように思っている可能性が高いでしょう。

ふつうなら、できるだけかかわらないようにすれば済むのですが、会社となるとそうはいきません。

陰口を叩かれたり、足をひっぱられたりすれば、のちのちの評価に影響がでないとも限りません。

そんなときはこちらから仕掛け、てなずけてしまえばいいのです。方法はとにかく相手を褒めるだけです。

「今度の企画、素晴らしいね。さすがアイディアマンと言われているだけあるよ」

「お、そのネクタイ、センスあるな、どこで買ったの?」

早い話、褒め言葉はなんでも結構。折に触れ、ひと言声をかけてください。

最初、相手は戸惑うでしょう。自分を嫌っていると思っていた人物から褒められるわけですから無理もありません。

しかし、嫌われているはずの人物だと思っていたからこそ、褒め言葉は効果があるのです。

一度や二度だけでは効果は薄いです。むしろ下心があると勘ぐられかねませんから、事あるごとに、適当な褒め言葉を投げ続けることが重要です。

「嫌なヤツだと思っていたけど、案外いいヤツかもしれない」と、次第にあなたへの評価が変わって来るはずです。

そしてやがてあなたへの嫌悪感は晴れていくはずです。好きでもないヤツを褒められない!と思うかもしれませんが、ここは一段上手に立ちましょう。

手なずけるためにおだてているだけと考えればいいのです。

時間指定をあえて分刻みにし意味深に

打ち合わせ時刻、待ち合わせ時刻に必ず遅れてくるという人がいます。プライベートでは許されるかもしれませんが、ビジネスではルール違反です。

それでも5分、10分程度なら平気で遅れてくる人は少なくありません。時間にルーズだと腹を立てられる相手ならいいですが、取引先だったら怒るわけにもいきません。

そういう相手には、心理的に遅れにくくなる対策を考えましょう。もっとも簡単にできるのが、待ち合わせを中途半端な時刻に設定することです。

多くの場合、待ち合わせや約束の時刻は30分刻みを使います。1時とか1時半と言った具合です。

でも、これをあえて12時50分、1時15分といった具合に、細かく中途半端な時刻を指定するのです。

中途半端な時刻を指定された相手は、その時刻に何か意味があるのではないか、その前後に何か別件があるのではないかと、勝手に想像します。

そして、その時刻を守らなければ、迷惑をかけることになるのではないかという気持ちを抱くものです。相手に緊張感を与え、時間を守らせることにつながるわけです。

3時の約束をしていたのに、相手の担当者がなかなか現れず、15分以上も遅れて鷹揚な態度でやってこられると、イラッとしますね。

しかも、こちらがイライラして感情が不安定になればなるほど、相手に主導権を握られてしまうのですから困ったものです。

ところが2時50分に設定しておけば、相手は予定時刻が気になるはずです。しかも時刻が気になって、その前からソワソワと落ち着かなくなっているかもしれません。

わずか10分の違いですが、相手をコントロールするか、あるいはされるかに大きな違いが出てくるのです。

主張が通った前提で話を進め相手を応じさせる

人を自在に動かせる暗示薬みたいなものがあれば、どんなに楽か…。

シュッと吹きかければ、それまで企画を通すことに渋っていた上司が、たちどころに承認してくれるような妙薬…。

そんな便利な薬とまではいきませんが、相手が誘導することで、暗示をかける方法は存在します。

企画書を提出する場面を例にとりましょう。

すばらしいアイディアを思いつき、企画書を作成し、上司に「いかがでしょうか?」と持ち込んだところで、すぐに通るほど甘くないことは誰もが承知でしょう。

上司によっては、細かい点を指摘して難色を示したり、差し戻されたり、あるいは目も通してくれず、そのままお蔵入りなんてこともあるかもしれません。

新しいことをするのを嫌う上司ならなおさらです。問題が起きることを避け、「それは無理」と一蹴されてしまうのがオチです。

こういった場合は、もうすでに企画が通っているかのような口ぶりで、話を進めてみることです。

「今月中には業者から見積もりをすべて取り寄せ、来月にはスタートしたいと考えていますが、いかがでしょうか?」

「イベントの会場はAホテルが良いかと考えているのですが、Bホテルのほうがよろしいでしょうか?」

といった具合です。企画内容を説明するにあたり、あたかも企画がすでに進んでいる前提のようなセリフを、会話のなかに何度も挟んでしまうのです。

最初のうちこそ、「まだ承認していないのに…」と思われるかもしれませんが、あなたの企画が通ったことを前提にしたセリフを耳にしているうちに、いつの間にかそれが既成事実のように感じてしまうのです。

「いや、来月スタートは性急すぎるだろう。もう少し詳細に検討したほうがいい」

「いくつかのホテルから見積もりをとってから会場を決めたほうがいい」

などと、実行するための相談へと会話が移行すれば、しめたもの。もう企画は通ったも同然です。

この手法は、心理学で「前提暗示法」と呼ばれています。

ほんとうは事実ではなくても、「たとえばこれが事実だとして」という前提で話されると、人はいつしか事実と勘違いしやすい心理を巧みに利用しているのです。

暗示をかけるにはタイミングとコツがあります。

それは、相手がリラックスしているほうがかかりやすいので、ほかの案件でバタバタしているようなときは避け、あとで話があることを伝えたうえで、改めて時間を確保してもらうことです。

また、自信がなさそうに話したり、一度口にしただけでは、人は暗示にかかりません。必要なのは、自信と確保を持った口ぶりで、何度も反復することです。

この妙薬に効果があるかどうかは、あなたの演技力にかかっています。

最後までお読み頂き本当にありがとうございました。

ナツキ
ナツキ
あなたの人生に素敵な勝利が訪れますように

KIYORA Group
メンタリストのための心理学 主任
桃園 ナツキ(ももぞの なつき)